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業界の革新者 21世紀を担うニューリーダー

2010年はバンクーバーオリンピック開催である。ウインタースポーツのメッカである北海道には日本代表候補者が多く、なかでもメダリスト候補として注目されているのがスノーボーダーの工藤洸平選手。弱冠19才だが、その実力は世界レベル。そんな彼を育てた父であり、スノーボードのコーチでもある工藤佳人さんに選手育成の秘訣、コミュニケーション方法などを聞いてみた。

聞き手:ビズニーズ コンテンツプロデューサー小島

工藤佳人
札幌市出身。1967年生まれ。建築関係の仕事をしていたが、息子である洸平選手が「スノーボードでオリンピックを目ざす」ことを決めてからコーチを兼任。現在は、北海道を拠点にスノーボードキャンプやスクール「エアーパワースタイル」を主宰し、世界で活躍する選手育成に努めている。

エアーパワースタイル
http://www.airpowerstyle.jp/
工藤洸平
札幌市出身。1990年生まれ。小学2年生のときからスノーボードを始める。2006年ジュニア世界選手権大会優勝を皮切りに、FIS World Cup優勝など国内外の大会で活躍。バンクーバーオリンピック日本代表の最有力候補として注目されている。所属See’s。メインスポンサーSALOMON。

工藤洸平オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/kouheiblog/

工藤洸平選手の後援会
http://goodjob-pro.com/kk/
1 オリンピックを目ざして
2 勝つために生活のすべてを捧げる
3 親と子として、コーチと選手として
4 大切なことは「あきらめない」こと
5 編集後記
 
1 オリンピックを目ざして  
 家族でスノーボードを楽しんでいたという工藤家。洸平選手は当時ストレートジャンプが中心だったが、どんどん上達してスノーボード仲間も増え、小学4年生のときからハーフパイプをするようになった。

ホームゲレンデの真駒内スキー場で、中井孝治や村上大輔(ともに北海道出身のスノーボーダーで2002年ソルトレイク五輪に出場)と出会い、世界で活躍する様を目の当たりにし、当時中学3年生だった洸平選手も全日本選手権とジュニア世界選手権で優勝したことから「オリンピック出場」を目ざすことに。

洸平選手の強い思いは、工藤佳人氏(父)動かした。「息子が本気でスノーボードで頂点を目ざすと決めたら、親としてはその想いを叶えるために最善の環境をつくって協力するのが当たり前だと思った」とコーチをかってでた。

現在、日本において世界レベルのスノーボーダーを育成する専門コーチはほとんど存在していない。そこでスノーボードキャンプやスクールを手掛けるエアーパワースタイル立ち上げた。スノーボードのコーチを務めるようになった工藤氏がはじめたのは勉強だった。スノーボード技術向上について論理的に確立されていないため、筋肉とトリッの関係、エッジの使い方、雪質、斜度についてなど自ら研究して虎の巻を作成した。
 
2 勝つために生活のすべてを捧げる
 スノーボードは一枚の板に両足を斜めまたは横向きに置きに固定して、雪の斜面を滑る。1980年代から成長した新鋭スポーツだ。また、外見的な印象からラフなスポーツととらえられることもある。しかし、実のところ、ほかのスポーツと変わらず、もしかしたらそれ以上にストイックなのだ。

オリンピック強化選手に指定された洸平選手は、1日4〜5時間スノーボードをして、ビデオクリニック(滑っている様子を収録した映像を観察)、さらに筋力アップのためのトレーニングも欠かさない。1日のほとんどをスノーボードに費やしている。しかも、夏は山梨にある室内練習場や海外遠征などがあり、冬は世界各地で大会が繰り広げられるため、ほとんど北海道にはいない。

「コーチになることは息子の支えとなり、一緒にいられるからいいと思ったけど、それまでの仕事を辞めたことで収入は激減して家庭は火の車。妻は大変だったと思います。でも、そんな愚痴は言わなかったので助けられました」と工藤氏は語る。

なにかを成就させるには、なにかが犠牲になる可能性がある。しかし、志が同じ者同士が理解して支え合うことで、なにかが犠牲になることはなく、むしろ力になる。これは個人や家庭においてのことだけではなく、会社という組織にも通じることではないだろうか。
 
 
3 親と子として、コーチと選手として
 工藤氏がコーチとして指導しているのは全国に60名ほどいる。エアーパワースタイルのスクール受講者を加えると、その人数は数百人になる。しかも、工藤氏はオリンピック強化選手のコーチでもあるため、洸平選手の指導もしている。つまり、洸平選手のライバルの育成もしていることになる。

「最初は複雑な気持ちでした。でも、ほかの選手と同じ条件が与えられているので、自分自身の向上のために気を抜くことなく努力できる。それに、ほかの選手から息子だからと差別されたくなかった」と洸平選手。一方、父親でコーチである工藤氏は「気にしたことはなかった。確かに息子のライバルを育ててはいるが、洸平はしっかり練習して努力しているからなんの障害もない」と。

また、洸平選手は「褒められたことがないんですよ。ワールドカップで優勝したとき『おめでとう』とは言われましたが、次の日は変わらず練習なんです」と。でも、「世界を目ざすなら、気を抜くことなく、とことん練習しないとダメなんです。アスリートにとって絶対的な自信がつくための練習が一番大切。それ以上、これ以上、もっともっと…という向上心と努力が必要。褒めてあげたいとは思いますが、それ以上に世界でトップになることを願っているので」と工藤氏は心を鬼にして檄を飛ばしている。
 
4 大切なことは「あきらめない」こと
 エアーパワースタイルで下は10才からスノーボードの指導をしている工藤氏。強化選手となると20才前後の若者たちが中心となる。これは新入社員と同世代。若者たちと多く関わっている工藤氏に、指導の際に心がけていることを聞いた。

「選手たちと年の差はあるのでジェネレーションギャップというのは少なからず感じます。でも、同じ時代を生きているので、共有できることはたくさんあるんです。自分の場合、彼らと同じ音楽を聴き、同じ目線をもつようにしています。また、スノーボードという共通項があるので、彼らの話にはしっかり耳を傾け、日常のしぐさや態度をよく観察しています。きちんとコミュニケーションを図って、人間同士の会話ややさしさを徹底していれば、なんら問題はありません」と言う。

そして「失敗させることも大切」だと。危なっかしい素振りの新入社員などは、ついあれこれ口を出してしまう。しかし、失敗から学ぶことは多く、失敗や挫折から立ち直って、同じ事を繰り返さないことの方が大切だ。

最後にモットーをうかがうと「あきらめないこと。あきらめさせないこと」と。夢を叶えるために、どんなに努力を積み重ねても、あきらめてしまった途端に実現はしない。

バンクーバー五輪に出場し、金メダルを獲るため洸平選手は今日も練習を欠かさない。そして、その傍らには工藤氏がいる。
 
5 編集後記
 ふたりにお互いの存在を聞いてみたら「友だちみたい」と答えた。友だち親子の弊害を危惧する人もいるが、工藤親子を見ていると、それは不要な心配であると思う。スノーボードに対してまじめに、一生懸命取り組む姿を見ていると応援せずにはいられない。そんな洸平選手の後援会が設立された。この場を借りて、ぜひご支援・ご協力をお願いしたい。
工藤洸平選手の後援会
http://goodjob-pro.com/kk/
 余談だが、工藤氏が主宰するエアーパワースタイルのスクール受講料は1日3000円程度という破格の値段設定だ。スノーボードの指導だけではなく、引率、国内外への遠征では宿泊等にいたるまでまで面倒を見ている。

「正直、大変ですよ。でも、スノーボードが上手くなりたいと頑張っている子どもたちを応援したいんです。どんなにセンスがよくて、練習をしても、続けられる環境がないとダメなんですね。つまり、続けるにはお金がネックになる。自分が子どもたちのためにできることは指導なので講習料はギリギリの価格に設定しました」と言うから、その情熱と心意気には頭が下がる。
過去の記事

3月掲載 「酒井俊樹氏(野口観光)
5月掲載 「石女史(石歯科)
9月掲載 「成田氏(ららつーオーナー)

 

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